2019/11 買ったCD
11月分。13枚の感想を書いていきます。
今月は期待の新譜がどどーんと一気に届いてもう大変です。耳が足りません。。耳が10個あって聖徳太子だったら最強になれるのになと思う深夜2時
Alcest/Spiritual Instinct:87
ポストブラックバンドの新譜。この手のジャンルの代表格ですね。耳に残る歌メロと鬱くしい絶叫が印象的な「Sapphire」に惚れ込んで購入。
これまでの作品と比較すると、メタルらしい音が増え輪郭がはっきりしたように感じます。このジャンル特有の幻想さは後退しました。適切な表現ではないですがKatatoniaっぽいです。従来のフアンがどう感じるかは分かりませんが、個人的には好みのもの。
現実と空想の狭間を行き来しているような、絶妙なバランスを持った作品です。
.fav『Sapphire』
As I Lay Dying/Shaped by Fire:95
有名メタルコアバンドの新譜。待ちました。
色々あって7年振りの新作となった今作ですが、前作から特に変化は見られません。。ただしかしただしかし、とにかくクオリティを上げてきました。
とにかくカッコイイの一言。虚弱な僕でもハイテンションでフルを聴き通せるパワーがあります。このぱわーに関しては説明必要無し、聴いた方が早いです。
全メタラー必聴盤。
.fav『My Own Grave』
Disillusion/The Liberation:87
プログメタルバンドの新譜。13年振りのフルアルバムです。デスラッシュ的な勢いとプログレ的な静と動の切り替えなどの展開を織り交ぜた独特なサウンドを有しています。
購入済みの1stと比較すると完成度が大きく上がっています。静と動の切り替えを基調とした構築的な展開は磨きがかかり、圧倒的スケール感を見せつけます。それでいてブランクを感じさせない、1stと遜色ないアグレッシブさを持ち合わせています。
そこまで注目していなかったこともあり驚きました。貫禄の復活作。
.fav『The Liberation』
Harakiri for the Sky/III : Trauma:96
ポストブラックバンドの3rd。日本人にとってこの上ない程インパクトのあるバンド名が有名なバンド。僕も名前だけ聞いたことがあります。なんとなく敬遠していました。
そして聴いて……驚きました。最高に叙情的なポストブラックです。聴き終わってからトータルタイム75分と気づき唖然。あっという間に時間が過ぎ去っていました。
この手のジャンルの中でもメロデスのような分かり易いメロディも多く、慟哭感が非常に強いです。InFlamesへのリスペクトを感じるメロディ・展開も見られ、ニヤニヤしてしまいます。
このアルバムを購入するにあたり1st、2ndも試聴しましたが、今作から明らかに耽美性が高まり、勢いだけでないクオリティの向上が感じ取れます。
これは良いバンドを知りました。4thも購入済みで到着が待ち遠しいです。
オススメ『Funeral Dreams』
In Mourning/Garden of Storm:90
プログデスバンドの新譜。ポストOpeth筆頭格としてはそこそこ有名なバンドですが、アグレッシブな印象で避けていたため今作が初めてのフィジカル購入。
きっかけになったのは#1「Black Storm」。全盛期Opethを彷彿させるイントロからの迫力ある力強いリフに一気に引き込まれました。
静と動の巧みな展開も巧みですが、勢いで押していくパートも多いです。聴いていて気分がただ落ちていくようなバンドとは少し違います。
過去作品も同様ですがサウンドプロダクションが良くないですね。音量も一昔前の感じ。あとはプログレッシブなバンドであるからには、もう少しアートワークにも気を使ってほしいです。歌詞カードもかなり薄いです。
ツメの甘さを感じますが、ここまでクオリティの高いプログデスを展開できるバンドは数少ないでしょうし、他の作品は少し試聴した程度ですが彼らの最高傑作と言える出来に仕上がっていると思います。
.fav『Black Storm』
Insomnium/Heart Like a Grave:96
メロデスバンドの新譜。僕の中でメロデスの頂点に君臨しているバンドです。北欧の情景美を基調とした壮大でどこか物悲しい、そして超カッコイイ叙情メロデスを確立しました。
一曲40分の超大作だった前作。今作は全10曲、統一感がありながらもそれぞれに個性の立った大傑作を創り上げてくれました。このバンドの作品はどれも甲乙付け難いですが最高傑作と言っても差し支えない出来でしょう。
幾分か清涼感が増したように感じます。キャッチーと言えるまでに豊かなメロディやクリーンボーカルは楽曲のクオリティを大きく上げています。
聴きやすいデスメタル、メロデス入門としても広くオススメできそうな作品です。
.fav『Neverlast』
Leprous/Pitfalls:97
プログメタルバンドの新譜。今、最ものめり込んでいるバンド。待ちに待ちました。
vo.エイナルが鬱に苦しんでいる期間に制作されたこともあり、前作の(比較的)明るい路線から打って変わって暗澹な作品。「暗澹」というのもあくまで面の1つでしかなく、僕の語彙では表現できない程に多くの表情を持っています。「複雑」この表現が一番しっくりきます。人間の心理もそうですが言い表そうと思ってもこんなものですよね。
メタル色が大きく削られ、ポップスやエレクトロ要素を今まで以上に取り込んだ革新的な音作り。メタルという狭い枠に囚われない、バンドシーンを牽引する存在にまで成り上がったのではないでしょうか。真の意味でプログレッシブです。
動パートでの壮大な盛り上がりはメタルを通過したからこそと思います。聴き始めはメタル成分の少なさに寂しさを覚えていましたが、聴くたびに静パートへの没入感が高まり評価も上がっていきました。
自分の知識と度量の狭さを痛感する程の言い表せない凄みのある大傑作。主観抜きで完成度の視点で見ても間違いなく最高傑作でしょう。そして、これからも最高傑作を作り続けていくバンドと信じています。
.fav『Alleviate』
Lunatic Soul/Waking on a Flashlight Beam:83
Riversideのフロントマン、マリウスによるソロプロジェクトの4th。
購入済みの1,2と比べるとエレクトロ要素が増し、アンビエントな作風。Riversideとの差別化という意味でこれは全然アリです。
美しくスケール感のある楽曲が揃っており質もヒーリングに十分ですが、個人的には馴染み辛く、好みの音楽性からはやや離れてしまっています。人間の感情が要素として希薄になっている点が理由の1つと思いました。
.fav『Gutter』
Lunatic Soul/Fractured:88
続く5th。これまでもどかしさを感じる作品が続いていましたが、遂にマリウスの才能が解放されました。分かりやすくなった、という表現が適切ですが。
基本的な方向性は前作を押し進めたもの。大きくクオリティが上がっています。エレクトロを絡めたマリウスの歌声は陰鬱でオシャレな雰囲気が溢れています。モダンながらどこか懐かしさを感じさせる哀愁やプログレ感も絶妙。
これまで少なかった歌唱パートが増えたことでリスナー側も感情移入し易くなっています。アンビエント感がRiversideとの差別化要素ではありましたが、僕自身聴きづらさも感じていたので変化は正解とおもいます。
.fav『A Thousand Shards of Heaven』
Novembers Doom/Into Night's requliem Infernal:80
ドゥームメタルバンドの7th。最近後追い中。
楽曲やアートワークからOpethぽさを感じます。それに近いと言えるほどの動と静のメリハリは無く、常に倦怠な雰囲気を纏ってはいます。
前作もそうだったのですが、アルバム中盤から終盤にかけて露骨に楽曲の質が下がります。何がしたいのかわからないまま終わってしまう曲も。その割にラストの曲だけ綺麗に締めるので高低差が大きく全体的な纏まりが無いように感じてしまいます。
厳しい書き方になりましたが、非常に良いものを持っているだけに詰めの甘さが気になってしまいました。
.fav『Empathy's Greed』
Novembers Doom/Hamartia:86
ドゥームメタルバンドの10th。
ParadiseLost的な陰鬱なゴシック感が強化されています。展開にも進歩が見られ、プログレと言って差し支えない構築感があります。
ゴシックが強まったことによる地味さは否めないですが、終盤まで妥協も無く安定安心の出来。しっかり通しで聴ける芯のある良作です。
メンバーは今作を「今まで発表してきた中でも最高の作品」と評しています。。全作品を購入しているわけではないですが僕もそう思います(便乗)。
.fav『Zephyr』
Opeth/In Cauda Venenum:89
有名プログメタルバンドの新譜。待ちました。
脱デスして4作目。近年は個人的に「悪くないけど良くもない」作品が続いていました。ダークさを纏った今作…なんだかイケそうな気がする……
スウェーデン語&英語の2ヶ国語それぞれのバージョンがありますね。先にスウェーデン語で制作されたらしいですが、僕は歌詞を重要視するタイプでないですしシンプルに聴きやすい英語で聴いています。
幾らかダークな雰囲気を持った今作は初期の面影を薄ら感じます。ダーク且つ穏やか、時に幻想的な世界観を見せつける美しい展開が素晴らしい、流石オウペス!万歳!!
なんだかんだ良いですね。今の路線になってからの作品では最も気に入っています。
12月の来日公演、楽しみすぎて直近のセトリをチラ見したところGhostOfPerditionとInMyTimeOfNeedが入ってなかった気がしたんですが気のせいです。多分。
.fav『All Things Will Pass』
Riverside/Love, Fear andthe Time Machine:95
プログレバンドの6th。大好きなバンドですが、このアルバムはメタル色が薄いと聞きスルーしていました。最近はプログレ寄りの音楽も楽しめるようになってきたので、イケるかな~?と思いつつ購入。。。イケました。
非常に暖かみのある音。ヒーリング的にゆったりと聴くことも、面と向かってがっつりと聴くこともできる非常に質の高い作品です。
アートワークも素晴らしく、温もりのある薄暗い夕方の世界観が完璧に統一されています。それでいて単調にならない曲展開の巧さ豊富さは流石です。
2枚組デジパック盤を購入したのですが、装丁といい物理的な質感といい、所有欲を満たされる素晴らしいフィジカルです。
.fav『Under the Pillow』
Slipknot/We are Not Your Kind:83
超有名メタルバンドの新譜。買うつもりは無かったんですが、結局気になってしまいました。
これまでの路線をある程度保ちながらも原点回帰。的な作品。凶暴さと聴きやすさを兼ね備えた2ndに近い印象です。。そうでもないですが。
十分にクオリティの高い作品ですが、Slipknotというバンドの作品と考えると求めていたものとは異なりました。粗さを削りメロディを強化した作風が好みだっただけに中途半端に初期に寄ったのが残念です。StoneSour聴いてろってことですかね。
.fav『Nero Forte』
Tool/Lateralus:90
有名プログレバンドの3rd。アルバム通して聴いたことがなかったので買ってみました。
変拍子を多用し、禍々しい雰囲気が統一されています。只々それを形にするとシンプルに気持ち悪い音楽が出来上がりますが、どこかキャッチーさを含んでいて聴きやすいです。全米1位を記録したのも納得がいきます(…にしても日本ではありえない話ですが)。
幅広い表現を持ったボーカルは素晴らしく、楽曲に豊かさをもたらしています。演奏技術に関しても当然最高レベルです。それをひけらかさないのも好印象。
真の意味でプログレッシブなバンドです。
.fav『Schism』
Tool/10,000 Days:88
4th。3rdと同時購入。
3rdと比べると暗くなりましたが、複雑さはやや減少した印象、、あくまで比較的に。雰囲気で聴く要素が増えたように思いますが、プログレッシブな構築感は失われていません。
前作もそうですが長尺の割に曲数が多く、終盤はのめり込めないとキツイかもしれません。5曲目にキャッチーな楽曲も持ってくるあたりは偉いですが。
ジャケットに3Dレンズが付属しており3Dアートワークが楽しめる仕様です。僕は乱視を患っており楽しめない仕様です。
全容が掴めないけどなんか凄い。複雑さを抑えながらも聴く度に味が出てくる作品です。
.fav『The Pot』
Wilderun/Sleep at the Edge of the Earth:92
プログメタルバンドの2nd。新譜を有識者が絶賛していたことから購入。
結論から言うとヤバイです。ヴァイキングさを含んだ非常に壮大な作品です。つまりヤヴァイキングです
大層なほどのかっこよさ、人によってはクドいと感じるようなクサメロもあります。僕自身もこの手のジャンルは初心者なので受け付けない日もあります。その日の体調による。
#2~5は「Ash Memory」というサブタイトルが付いており、1つの曲としても聴けます。この曲で繰り返されるエピカルでキャッチーなメロディーが最高。
Opethを想起させるアコギやデスボを絡めたメリハリのあるプログレッシブな展開力にも感銘を受けました。何故これほどのバンドがブレイクしていないのか心底疑問。
Harakiriに続き素晴らしいバンドとの出会いに感謝するばかりです。
.fav『And So Opens the Earth』
Wilderun/Veil of Imagination:96
このバンドはタイトルが良いですね、「地球の片隅で眠る」「想像のベール」。意味は分からないですが。ヤヴァイキングバンドWilderun新譜。
アートワークから進化が伺えます。草原と青空をバックに開放的でありながら美しさと醜さが混同した素晴らしいジャケットにハードルを上げずにはいられません。
前作に多く含まれていたヴァイキング要素は薄まり、シンフォニック寄りの本格派な壮大さを感じさせる作品。フォーク要素を持ちつつも一般的に言われる「ダサいメタル」から脱しています。でもちゃんとメタルなんです。ありがとうございます。
プログレッシブな展開には磨きがかかり、開放的ですがデスボパートもアクセントとして非常に巧く取り込まれています。「陽のOpeth」という言葉がこれ以上無くしっくりくるバンドになりました。
favは壮大ながらキャッチーさをも持った神曲です。ボリュームもぐっと上がりオーケストラと共に大きな盛り上がりを見せる、このアルバムの象徴する楽曲と言えます。
.fav『Far From Where Dreams Unfurl』
新譜と新バンドのおかげで最高の11月でした。
僕の今年の新譜9枚は今月分から4枚は選ばれるでしょう。大漁万歳